淑女の皆様ごきげんよう。ロマンスヒルズです。
さて、12月のロマンスヒルズコレクションは、あかし瑞穂先生の作品です!
あかし瑞穂先生といえば、かわいく楽しい現代モノのラブコメで有名ですが
今回の新刊は、ムーンライトノベルズで大人気のラブコメを
書き下ろし特別番外編つきで電子書籍化させていただくことになりました。

とっても面白いので是非ご一読を!

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ひんぬー女子の婿取り事情
あかし瑞穂




剣道一筋。クールな「ひんぬー」ヒロインと
謎めいたイケメンとの素敵なラブコメ♪


西門寺忍(さいもんじ しのぶ)は、立派な「ひんぬー(貧乳)女子」である。 
清く正しいひんぬーで生きていこうとしたものの、祖父の剣道場跡継ぎ問題のため、婿探しをする事になってしまう。
だが、ひんぬーのままでは男が引っ掛からない。そこで、職場のお局様に相談したところ、勧められたのが高機能シリコンパッドだった。忍はパッドを装着し、親友の紹介で、ある男性に会ってみる事になったのだが……?

脳筋ひんぬー女子と、見た目ハイスペックだが隠された性癖を持つ男子との、ひんぬーミーツボーイ、な物語。



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★あかし瑞穂先生について


★管理人からのオススメポイント~ ~


ヒロインの忍の、硬派な語りで綴られる物語がとっても面白い!

忍は、強く逞しくかっこいいヒーローのような女子なのです。
もうね、でもね、すごくかわいいんですよ。かわいすぎて忍ちゃんと呼びたい。
男性顔負けの忍ちゃんに、ふってわいたお見合いのお話。
色恋沙汰にまったく執着がなかった忍ちゃんを応援したくなるのです。
高スペックすぎる謎めいた男性が、これまたいろんな意味で素敵です。

あとですね、個性的な脇役たちがいいんですよ。お局様とか。
みんなのロマンスが読みたい。そして幸せになってほしい。

とっても楽しい物語なので、是非多くの方に読んでいただきたいです。



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登場人物紹介

西門寺 忍
(さいもんじ しのぶ)…剣道場で育った、強く優しくクールな女子
田上 悠斗(たがみ ゆうと)…忍のお見合い相手にと紹介された高スペックなイケメン

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1.ひんぬー女子、パッドを装着する

 ——私こと、西門寺忍(さいもんじ しのぶ)は、俗世間で言うところの「ひんぬー(貧乳)」である。谷間、なにそれ美味しいの、の状態である。
 
 その事実を認識したのは、『そのうち、大きくなるから〜』というセリフが聞かれなくなった高校生の時だったか。友人たちが下着のサイズを変えていく中、全くといっていいほど私のサイズは変わらなかった頃か。まあ、私自身は剣道をやっていた事もあり、きょぬー(巨乳)では動きづらかろうと思っていたので、さほど気にはしていなかったのだが、社会に出ると否応なくひんぬー扱いを受けるようになった。
 
 大体、世の男共は女の顔など見ていない。ふっくら柔らかそうな谷間が目の前にあると、そこに視線は釘付け。Fカップを擁する会社の同期で親友、的場彩香(まとば さやか)(同期と言っても、短大卒の彩香は私より二つ年下だ)が常に男に追いかけられているのを見ると、一目瞭然の事実である。私とて、親友のFカップを思う存分堪能させていただいていた身であるのだから、きょぬー万歳と言いたくなる気持ちも分からんでもない。(ちなみに、彩香には嫉妬深く心の狭いカレシという名の邪魔者が出来たため、Fカップに顔を埋めて安らぎを得る事が出来なくなった。ちっ)
 
 だがしかし。一体私のひんぬーが何をしたというのだ。世界平和を脅かしでもしたのなら、心より謝罪もするが、何ら世間様に迷惑などかけてはおらんではないか。なのに何故、世間の風はひんぬーに冷たいのか。 
 私自身はひんぬーを恥じる事無く、まっとうに生きていければいいかと思っていたのだが、そうも言っていられなくなった……道場の跡継ぎ問題である。
 
 私が三歳の時に両親は離婚、その後私は父方のじいさまとばあさまに育てられた。じいさまは、元全国大会優勝経験者の剣士で、門下生から何名も全国大会に出場という、由緒正しい剣道場の師範だ。一方父はというと、いつまでたっても母が忘れられないらしく、母が出て行った原因の稽古場を見るのも嫌だと、自身の実家でもあるこの『西門寺剣道場』に近寄りもしない。母はとうの昔に再婚しており、私という娘がいた事も忘れているというのに。元々母親らしい事をしてもらった覚えのない関係のため、私自身も母に関する感情は淡白なものだ。派手なおばちゃんだったな、ぐらいしか記憶がない。
 
 じいさまとばあさまは、厳しくも愛情深く私を育ててくれた(私がこんな口調になったのも、時代劇好きな二人の影響だろうか)。そんな二人も寄る年波には勝てず、往年のような稽古スケジュールは組めない状態だ。となればだ、道場の跡取りとして、頼りにならない父よりも、私の方に目が向くのは当然の事と言えよう。
 
 私はといえば、師範代として土日は道場で稽古を見ているが、平日は地元の信用金庫に務めている。この厳しいご時世、道場以外にも収入があった方がいいだろうと判断しての事だ。道場のメンテナンス、かなり入り用だからな。
 そこで出会いがあれば、と思っていたのも最初のうちだけ。二十七になる今日まで、全くといって言いほど色よい話がない。同期はすでに何人も寿退社しているが、当然皆私よりもきょぬーだった。
 
 このままでは、じいさまに安心して引退してもらえない。今年に入ってから、体調を崩すことが多くなったじいさま。敬愛するじいさまに、何とか婿殿の顔を見せてやりたい。そう焦って、何度か友人に連れられて『合コン』なるものに出席してみたものの……『お持ち帰り』とかいう名誉に預かるのはきょぬーの女子ばかり。酒に強い私が最後まで素面で残り、酔っぱらった連中の後始末をする事も多かった。何故だ、私は酒臭い男連中をタクシーに突っ込むために合コンに出たのではないのだぞ。婿探しだ、婿探し。
 
 どうやら、私には婿探しに必要な決定打が欠けているらしい。十回目の合コン後そう観念した私は、男性から引く手あまただったという伝説の魔女?、職場で支店長よりも偉いとされている、大神先輩に教えを乞う事にしたのだった——。
 

***


「……で? 大神さんのアドバイスがそれ?」
 私を見下ろす彩香の視線は、私の胸元に釘付けになっていた。そうだろう、今までの私とは違うだろう。私は「ああ」と頷いた。

「とにかく、男は女の性格など見ちゃいない、見かけが大事だと教わった」

『あのね、西門寺さん。所詮男は女の身体を見てるのよ。特に胸ね』
 
『胸……』
 
『そうよ、胸が大きいという事は、それだけで武器になるのよ。胸を押し付けて我儘言えば、大抵の男はイチコロよ』
 
『……しかし、私は』
 
『安心なさい! 最近の技術の進歩は凄いんだから! いいの、紹介するわよ!』
 


 今、私の剣道着は膨らんでいる。大切なのでもう一度言うが、膨らんでいるのだ。剣道着の合わせ目を緩めれば、ぽろんと落ちそうなぐらい膨らんでいる。
 
 ——大神先輩、激しい稽古にも耐えましたよ、このシリコン! 今私の胸は感動で膨らんでいます!
 
 さすがは大神先輩だ。支社長の同期入社で、当時寿退職が当たり前だった時代にキャリアを貫き通した女傑だけの事はある。今でも支店長、『田中君、早くして頂戴』扱いだものな。彼女に逆らえる人間は、支店の中には存在しない。その彼女が言うのだから、間違いないだろう。そう思い効果を見るため試しに着用してみたが、なかなかいい感じだ。取れないし。
 
 そして稽古後、面や小手、胴を外したところ、見学に来ていた彩香の目に留まった、という訳だ、このきょぬー(シリコンパッド)が。
 
 正座から立ち上がった私は、彩香の目の前に立った。剣道着は分厚いからあまり動かないが、これが薄手のシャツだと『ふるん』と揺れるらしい。私には未知の感覚だな。一方、彩香は薄手の白Tシャツにピンクのフレアスカートといういで立ち。動くたびにふるんと胸が揺れている。やはり自然な揺れだな。
 
「……お前さあ、何か間違った方向向かってないか?」
 
 失礼な声に後ろを振り向くと、幼馴染の門下生、佐藤邦明(さとう くにあき)があきれ顔で立っていた。上下紺色の剣道着を着ている奴は、門下生の中でも有望株だ。昔は私よりもチビだったくせに、今では見上げないといけないぐらい背が伸びている。もっと身長が伸びぬよう、面を上から叩いておけばよかった、と秘かに後悔している。
 
「なんだ、邦明は私の胸が膨らむ事に反対なのか。彩香のFカップにめろめろのお前が」
 
「おまっ、稽古場で何言ってるんだっ! 誰かに聞かれたらっ!」
 
 汗だくで上気していた奴の頬が、ますます赤くなった。彩香の頬も真っ赤に染まっている。稽古場はすでに稽古後の床拭き(これは皆が当番制でやってくれる)も終わり、子どもたちももう帰ったところだ。今稽古場にいるのは、私達三人だけだし、跡取り問題に関係するのだから神聖な道場内でも許されるだろう、きっと。
 
「お前が彩香を独占するから、私が彩香を堪能する時間がなくなったじゃないか。彩香は私の親友だぞ」
 
 そうだ、Fカップに目を付けていたのは私が先だ。そう言うと、邦明ははああと疲れた溜息をついた。
 
「……まあ、そのおかげで彩香は手付かずでいられたんだと思うけどな」
 
「私は何もしていないぞ。彩香に寄ってくる男共を睨み付けただけで」
 
 ふんわりとした雰囲気、くるりと巻いた髪が可愛らしい彩香は、学生時代から痴漢やらストーカーやらに追い回されていたらしい。現に支社にも彩香目当ての連中が口座作りに列を作っていたぐらいだからな。暗がりが怖いと怯える彩香とたまたま帰りが一緒になった私は、寄ってくる男共を軒並みぎろりと睨み付けた。まだ手は出していなかったのだが、何故か奴らは逃げていった。その事で彩香に感謝され、仲良くなったのだから、まあ良しとしよう。その後も彩香に近寄る気配もないしな。
 
「それが恐ろしいって事を認識しろよ。お前隙がなさ過ぎて、殺されるって思うぞ、慣れてない奴は」
 
 そんな私の殺気に慣れていた邦明は、私の忘れ物を届けてくれた彩香に一目惚れ、私を出し抜いてアタックしたあげく、まんまと彩香のカレシに成り上がった奴だ。それを彩香から聞いた私が、邦明を体育館裏ならぬ稽古場に呼び出し、試合でこてんぱんにした事は記憶に新しい。
 
「お前が結婚出来ない理由は、胸じゃないぞ。その性格と口調だ」
 
 とことん失礼な奴だな、お前は。私はぎろりと邦明を睨み付けた。
 
「そうか? 会社ではもっと女子っぽいと思うのだが」
 
 なんだ、その残念そうな瞳は。腕を組んで私を見る邦明の視線が生ぬるいぞ。
 
「……忍ちゃん。邦明さんの言う事、一理あるのよ……だって、忍ちゃん、カッコよすぎるんだもの」
 
 彩香がそっと呟くように言った。ふわんとカールした髪が、彼女の肩のあたりで揺れている。
 
「私だって、忍ちゃんが男だったら、絶対彼女にしてもらってるもの。真っすぐで強くて、カッコよくて。そんな男子、今時そうそういないし。イケメンだし」
 
「彩香……」
 
 情けない声を出すな、邦明。男だろうが、しゃっきとしないか、こら。
 
「一応髪は長いぞ」

 高校生の時、一度ショートカットにしたところ、制服がスカートにも関わらず『全く男子と区別が付かない』と言われたため、女子である事を示すように髪を伸ばし始めた。背中の真ん中くらいまである髪は、稽古中は後ろで一つに括ってはいるが。
 
「それがいいのよ!」
 
 彩香がずずずいっと私の前に迫ってきた。
 
「真っ直ぐな黒髪を後ろで括って、きりりとした眉に切れ長の瞳。きっと結ばれた唇がカッコよくて。本当に私の理想の男子なのよ! 刀持ってくれたら、絶対素敵よ!」
 
 そう言えば、彩香は刀と男が合体したゲームとやらにハマっていたな。それの事か。邦明が『ゲームの登場人物に夢中だ』って拗ねていたから覚えてるぞ。
 
「私だって、彩香のように可愛くて優しくて気が利いて、おまけにFカップの嫁が来てくれたら、言う事ないが」
 
 嫁だと跡取りが生まれないのが本当に残念でならない。
 
「やあん、忍ちゃんったら」
 
 頬に両手を当てた彩香を見て、邦明が叫んだ。
 
「やめろ、忍っ! お前がそんなだから、お前の周囲の男子がもてねーんだろーがっ!」
 
「なんだと?」
 
「おっ、俺がアプローチした女の子、何人に言われたと思ってるんだっ! 『だって、佐藤君よりも西門寺さんの方がカッコいいんだもの』って! お前を負かせたら付き合ってもいい、とか言われてっ……!」
 
 ちなみに、試合で邦明が私に勝った事は一度もない。私は小首を傾げた。
 
「そんな事言われてもな。すまん、と謝った方がいいのか?」
 
「余計惨めになるからヤメロ」
 
 邦明が頭を抱えて呻いている。せっかくの私の胸にも反応しないとは、失礼な奴だ。
 
「そういえば、彩香は今日どうしてここに? これに会いに来たのか?」
 
 邦明を親指でくいっと指すと、彩香は「それもあるけど、実はね」と私にウィンクしてきた。
 
「忍ちゃんが合コンで相手を探してたでしょ? その話をお兄ちゃんにしたら、ちょうどいい相手がいるって」
 
 私は目を丸くして、彩香を見た。
 
「へ? 颯太(そうた)兄が?」 
 彩香の兄、的場颯太とは、彩香の家に遊びに行った時に何度か話をした事がある。彩香の兄らしく、優し気で気の利くイケメンだ。
 
「お兄ちゃんの同期で、やり手営業課長さんがいるんだけど、恋人がいないんだって。それで、一度忍ちゃんと会ってみたらどうかなあってお兄ちゃんが」
 
「ほう」
 
 颯太兄の紹介なら確かだろう。よく分からん合コンよりは。と頷いていたら、邦明が「彩香、本当にこいつ紹介する気か!? 間違って女に生まれた奴だぞ!?」などと失礼な事をほざき出した。 
 
「その男はこいつの恐ろしさを知ってるのか!? 大体……ぐがっ!」
 
「おや、すまない。肘がみぞおちにめり込んだようだ」
 
 うううと呻く邦明を横目で見ながら、私は彩香ににっこりと笑いかけた。
 
「その話、乗った。詳しく聞かせてくれないか」
 
「うん! とりあえず、着替えて来たら? ご飯でも食べながら話しましょ?」
 
「そうだな」
 
 私は膨らみを見下ろしながら返事をした。そうだ、このパッドの効力を試す時ではないか。
 
 ——よし。私はぐっと拳を握り締めた。大神先輩の教え通りにすればきっと!
 
「この機会……ものにしてくれるわ」
 
 ふっふっふ、と笑う私の後ろで、「怖ええ! 悪の越後屋の顔だぞ、それはっ!」と怯える邦明の声が、稽古場に響いたのだった……。


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