淑女の皆様ごきげんよう。
12/20発売!ロマンスヒルズコレクションに亜麻寺優先生の新刊が登場!
ネット小説投稿サイトで大人気の作品が、大幅加筆でロマンスヒルズで電子書籍化!
イラストレーターのまかろんk先生 @macaronk1120によるカラーイラストも!

mak02
嘘つきなマカロン〜年下セレブは初恋を逃さない〜

亜麻寺優


「俺のほうが年下だが、あんな男に負けるつもりはないぜ?」
 
 財界セレブ年下理事との身分差ラブドラマ&ロマンス開幕!
 梓苑高校の養護教諭として日々を過ごしていた獅童愛望の前に、 イタリア帰りの御曹司、仁科希實が現れる。 理事として戻ってきた彼を前に、鮮やかに蘇る桜吹雪と切ない初恋の思い出。 理事長選の陰謀渦巻く中、身分差&年の差の初恋は実るのか。
小説投稿サイトにて大人気の恋愛小説が、大幅加筆でロマンスヒルズに登場!

【編集部より】
クリスマスから始まる年下セレブとの華やかなロマンスです。ぜひこの時期にお楽しみください。





亜麻寺優(あまでら ゆう)先生
について
エブリスタ等のネット小説投稿サイトを中心に、恋愛小説やライト文芸など、 幅広いジャンルで活動中。ラブコスメLCスタイル公式作家。 別名義では大賞受賞作の書籍化としての藤原舞響著『長崎の竹蜻蛉は誰よりも天高く』がある。 


★オススメポイント~華やかなセレブの世界へようこそ~
嘘つきなマカロン02
年下セレブヒーローに翻弄されて愛を囁かれる甘いロマンスをお楽しみください。
まかろんk先生が書籍化のために描き下ろしたオリジナルイラストも入ってます!

 
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登場人物紹介

獅童愛望:セレブが通う梓苑高校の養護教諭。
仁科希實:イタリアから戻ってきた仁科家の御曹司。梓苑高校の理事。
早乙女恭:愛望の彼氏。プロポーズ間近。

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 終業式がやってきた。養護は特に終業式には参加しないが、サボり生徒を叩き起こすも養護の仕事だ。
「ハイハイハイハイ! 起きて講堂行きなさいよっ! 行ってらっしゃい!」
 母親気分で元気よく生徒を追い出して、「さて」と腰に手を当て白衣を揺らす。
(薬品が切れてたんだった、大変)
 業者もクリスマス前後では出荷を止める。抽斗からリストを取り出した。生徒が持ち出さないように劇薬は鍵付きの扉にしまってある。しかし、簡単に使える包帯や、絆創膏はちょこちょこ減っていたりするから、気が抜けない。
「さて、注文」
 受話器を手にして、耳に当てた途端に、ドアが軋んだ。
「E 'il jet lag……peggio」
 何語? と首をかしげたくなる流暢な外国語が聞こえた。今度は外国人がきたのかと千客万来の医務室を振り返る。呟きと共に、ぬっと男の影が見えた。
 男は「眠くてたまらねー」とまっすぐにベッドのほうに向かっていった。
「ちょっと! 勝手に医務室のベッド……!」
 見れば男は「おやすみ」とばかりにベッドに潜り込んでしまっている。ドアも開けっ放し。生徒ではないだろう。スーツだから。全く。大人子供が多すぎる。
『いつも御贔屓に有難うございます。獅童様、ご注文ですね?』
「あ、えっと……エタノールと……いつもの救急一式を……」
『本年度のご注文はこれにて受付終了となりますが、宜しいでしょうか』
「あ、はい! それでお願いします!」
 素早く受話器を置く。白衣をきゅっと掴んで、「ちょっと!」とカーテンを開けた。そこには男が伸びていた。ネクタイをかっちりと締めたまま、高そうな上着のまま、倒れ込んでいる。たちまち医者魂を振るい起こして声を掛けた。
「あの、具合が本当に悪いんですか? 診ましょうか」
「……時差ボケだ……退屈な理事会が背中を押しただけで……悪い、カーテン閉めて、俺、夜型……」
「まず、名前を。具合が悪いなら、ちゃんと診察します。子供じゃないんだから。理事のかたですか?」
 出てきたのは、教員免許証と、理事証明書らしいカードだった。銀色のエグゼクティブカードは高級そうにパールの輝きを放っていた。彫り込まれたサインは、『NOZOMI NISHINA』。
「お分かりなら、いい加減寝かせていただけませんか?」
 理由はともかく、酷い時差ボケに見舞われている様子。理事なら、無理に追い出す必要もないだろう。わたしはシャ、とカーテンを閉め、仁科の名前に気づいて手を止めた。仁科と言えば、この学校の財団法人グループの一族だ。その頂点は確か……。
「もしかして、学校の仁科副理事の関連のかたですか」
 ばっと布団が持ち上がった。
「俺はそいつの息子ですが何か……くっそ、頭、痛ぇ……」
 寝ぼけているのに、だらしなく見えないのは、姿勢だろう。わたしは吐息まじりに告げた。
「ネクタイかっちりと締めたままは良くないですよ」
「頼む、緩めて。眠くて……指先、動かなくて……」
 襟元を緩めたおかげで、少し楽になった様子だ。「助かったよ」とようやく上げた顔を見るなり、目をみはるしかなかった。
 ――桜霞の幻聴がする。あの日の桜の中で振り返った顔と、同じだったからだ。
(嘘でしょ……っ? え? あ、カード……確か……)
 ネクタイを掴んだまま、わたしのすべては一瞬だけ崩壊した。こんな偶然があるものなのだろうか。しかし、残念ながら研修生の時に見惚れた、かわいらしさ、凛々しさは見当たらない。どちらかと言うと、二回目の再会のままだ。
『今日のことはすべて忘れたいんだ。余計なお世話だよ』
 思い出して、胸がずきんと傷んだ。今日のことは忘れたい。言葉には悲しみが詰まっていた。
 仁科希實はというと、首をこきっとやりながら、不思議そうな顔をしてわたしを見下ろしている。
「なぜ、俺を見て、驚いてるんですか。どこかでお会いしましたか?」
「あの、わたしと二回ほど、逢ってますよね。高校生の時、生徒会長していませんでした?」
「確かに生徒会長をやっていましたけど。……そうでしたか?」
「卒業式の日に、桜の下で」
「人違いでしょう。俺はその頃は日本にはいませんから。弟だったのでは?」
 にっこりと笑われて、わたしは言葉に詰まってしまった。
 ――人違いとは思えない。弟?
(なんで隠すの? 泣いてたの、あなただったでしょうに)腹で告げて、引き下がった。
「二回も逢っていたら、運命的に凄いですね。生徒会長は父の命令で無理やり。俺は学校が嫌いでして。思い出したくないですね」
 無理やりであの笑顔? わたしは研修時代を思い出したが、すぐにしまった。どんなに出会いが良くて、奇跡でも、初恋は、実らない。それでいいんだ。大体、年の差がある。今頃年の差恋愛にうつつを抜かして、現実逃避もないでしょう。
「そうですね。……うん、人違いかも」
 どうして、こんな嘘をつかなければならないのだろう。一言、「あれは俺ですよ」って言ってほしかった……。
 間近で顔を見て、もっと苦しくなってきた。めまいもする。早乙女の誘いをどうするか悩んだ寝不足が今頃出てくるなんて。
「医者の不養生ですか。大丈夫ですか?」
 その表情には、わたしを覚えている兆しなんか欠片も見当たらない。何度も何度も息を吸っている内に、落ち着いてきた。
「すいません。改めて。この度は理事就任……」
(うわ、苦虫かんでる顔)と眉を潜めた前で、仁科は視線を逸らし、「本日より梓苑学園の理事となります仁科希實です」と横柄な自己紹介を済ませてきた。
 それにしても改めてみると、仁科の容姿は恵まれている。綺麗な頬、通った鼻筋に、吊り目がちで、勝ち気そうな目。薄い睫……引かれた唇に整った骨格……。
 本人は気づいているのか分からないが、かなり目を引く容姿に加え、明るすぎる髪の色がよく似合う。それに声音も麗しい。神さまは仁科希實へいくつ贈り物をしたのだろう。
 低い身長、丸い頬、美人度中、成績中の上、男性経験そこそこ、コンパではたまに引き立て役の自分とは大違い。更に農家で庶民の出。スタンプカードと通帳がお友達……。
「落ち着きましたか? 名刺をお渡ししておきます」
「ありがとうございます。こちらも名刺を……」
 仁科はしばし首を傾げた。わたしの名前は読みにくい。
「愛に望みと書いて『めぐみ』と読みます」
 ふうん、と仁科は名刺に視線を落とし、丁寧にカードケースにしまって、ネクタイを締め直すと、「ありがとう。失礼しました」とまた大幅なスライドで部屋を出て行こうとした。
「あのっ!」
 足を止めてくれた後ろ姿に問いかけてみる。「あの?」と仁科が不愉快そうな声音になった。
「わたし、覚えていませんか?」
 仁科と目が合った。仁科は片方の眉を下げて、今度は双眸を向けた。瞬間に、医務室のドアノックが聞こえてきた。
「獅童先生、今夜ですが。良かったら一緒に教師たちと会場まで相乗りしませんか?」
 早乙女だった。早乙女は「おや」と仁科に気が付き、すぐに頭を下げた。
「仁科理事がいらしていたとは。失礼しました。あの、この度はご就任おめでとうございます。本日のパーティーでも、就任のお祝いが入るとか。教師一同歓迎しております」
「ちょっと、恭くん。理事は具合が良くなくて、医務室を訪ねてきただけだから」
「あ、そうでしたか。すいませんてっきり」
 てっきり? 何が続くのだろうと思っている前で、仁科のほうが立ち上がってドアに近づいていった。
「こんな可愛い養護教諭がいるなら、我が校の生徒も安心です。なるほど。今度はネクタイを緩めることで対処します。それでは」
 ――可愛い養護教諭?! すいっと出ていったあとで、早乙女は「あれが噂の帰国子女の理事だよ」とそっけなく告げた。
「海外で数年間インターン研修を受けた超エリートだ。今夜のパーティーは女教師たちが色めき立つね。びっくりしたよ。そんな理事さまと二人きりで」
「ここは医務室。時差ボケで苦しそうだったのよ。後で連絡するから、先に行ってて」
 仁科が皺にしたリネンを伸ばしながら、わたしは早乙女に背中を向けた。
「昨日の返事は?」
「まだ待って。結婚する気はちゃんとあるから」
「それが聞ければいいんだ。渡したいものもある。給料三か月分だ。不満はないでしょう」
 動きを止めた。エンゲージリングだろうか。わたしは、受け取らなければならないの?
「詳しくは、夜に」てきぱきと告げて出ていった。身長の高い二人がいなくなると、医務室は急に広くなった気がする。
 ――こんな可愛い養護教諭がいるなら。ご丁寧に研修が終わった時と同じ言葉。
「覚えているはずなのに。よく、分からない。なんで誤魔化すの……?」
 呟きの合間に、声が割り込んだ。
「獅童先生の彼氏は早乙女恭先生でしたか」
 廊下から声がして、焦って振り返ると、仁科はにっこりと微笑んで手をひらひらと振った。
「すいません、聞こえてしまって。ああ、別に親父には言いませんし、恋愛は自由です。言い忘れた連絡事項があったと思い出して」
 仁科は瞬間にすいっと笑顔を引っ込め、ドアに寄り掛かって腕を抱えてみせた。
「ちょっと俺的に、面白くない展開だな、と」
 丁寧には程遠い口調にはっとするも、遅かった。仁科は振り返るなり、仁王立ちでわたしを見下ろした。まるで高貴な鷹に引きずり出された獲物の気分。鷹はより一層、目元を引き上げた。
「やっと自由になれたと思ったら、父の傀儡。渋々納得して動き出したら時差ボケに見舞われ。俺のことを好きだった女は、どうでもいい男と結婚間近ときましたか」
 片腕をばん、と壁におかれて、わたしは驚いた勢いで振り返った。
「あのですね! いきなりなんですか」
「教育実習中」
 言葉を端的に告げられて、わたしは脳裏が真っ白になった。見上げると彼と目があった。
「見てましたよね。ちょこちょこと。二週間も」
 言い当てられて、一気に頬が熱くなった。
 もう何年も前になるのに、羞恥心は健在だ。研修中も、いつしか目が校内での仁科を探すようになっていた。それでも、声を掛けられる同僚の女教師と違って、わたしは影で見ていただけ。知られずに、見ていただけ。今考えると、少し怖い。
 ――これは、悪夢か。わたしの神さまからのクリスマスは、夢一杯でも、ナイトメア・クリスマスのほうらしい。
「さっき、人違いだって言いましたよね」
 仁科は髪をかき上げた。「あなた、表情が変わってない。さっき俺を見ていたとき気付いたのに、邪魔が入ったんだ」
 陰惨な声音で告げ、じいっとネームプレートを覗き込んできた。
「獅童愛望さん。この俺は、庶民の男に負けるつもりはないんですが」
「庶民の男って、まさか恭くんのこと言ってるの?」
「それに、人違いだと言いたくもなります。あの日は、俺にとって人生最悪の日で、誰もいないと油断していた。そんな瞬間まで見たいのかと思って。男が泣いている場面を見られて、これからどう格好つけろと言うんですか」
「今、目いっぱい格好つけてるでしょう」
「確かに。気が済んだ。連絡事項を告げたら戻りますよ」
 そうだ。話が途中になっていた。思い出して振り返ったところで、腕を引かれた。突然感じた暖かい唇の感触に目を見開いた。
 キスの合間に、仁科は優しく告げた。
「覚えていると伝え忘れていました」
「伝え忘れ?」
「……可愛い勝気な養護教諭だと」
 みるみる溢れる涙にくつくつと笑って、仁科は告げたのだった。
「俺のほうが年下だが、あんな男に負けるつもりはないぜ? 言っただろう。面白くないと」
 がらりと変わった口調に、背筋が戦慄いた。目の前の人は、本当にあの、優しかった男の子なのだろうか。力なくぽすんとベッドで腰を抜かしたわたしに、仁科は「改めて」と微笑みを向ける。
「この度、梓苑高校の教師統括部を兼任します仁科希實です。役職は理事となりますが、先生とは非常にお近づきになるかと。何かありましたら、俺にご相談を。手始めに、医務室の製薬関連ルートの見直しから始めますか。それとも再会のシャンパンと行きますか?」
 ぎしっとベッドが軋む音。気が付くと、仁科はわたしに覆いかぶさろうとしてきて。でも彼は、怯えたわたしの頬を撫でるだけで離れた。唇を人指し指で擦りながらからかった。
「怯えすぎですよ。虐めがいがないな。今度は一輪ではなく、枯れない薔薇を贈ります。あの時は、あれで良かったと思ったんですが、あなたが笑顔を見せてくれて、ほっとした。それではまた、逢いましょう、獅童先生」
 仁科は出て行きようやく独りになって、わたしはぐしゃりと髪をかき上げた。
 覚えてくれていた言葉で不愉快も帳消しになってしまった代わりに、ドキドキがやってくる。もうすぐ結婚間近の一応のゴール手前で、どうして、なんで、こんな事態に……?!
『俺のほうが年下だが、あんな男に負けるつもりはないぜ?』
 仁科の笑顔は言葉と一緒に、色濃く甦るばかりだった。
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